2020.08.23 中国海警局、香港人12人を拘束

12名の香港人は8月23日、政治的亡命を求め台湾に密航している途中、中国海警局に海上に拘束され、中国の司法当局に不法入国(越境密航)の罪で拘留された。拘留された者の年齢は16〜33歳で、その多くは香港で様々な罪に問われて保釈中の身である。12人のうち、11人は裁判所から出国禁止令が下され、うちの10人が指名手配された。中には、2019年区議会選挙前に国際選挙監視団を招きホスト役を務めたために所謂『香港国家安全法』の「外国又は境外勢力と結託し国家安全に危害を及ぼす罪」で香港当局に逮捕された民主活動家、「香港故事」メンバー李宇軒(アンディ・リー)が含まれる。

 

事件の流れ:

【2020年8月23日】12名の香港人は新界東部の西貢・布袋澳から出発した。その一行は香港から340キロ離れ、中華民国軍の部隊が常駐している東沙諸島に着いてから別の船に乗り換え、台湾本島最南端の屏東県に行き、台湾当局に政治的保護を求める予定だったが、船が香港に属する果洲諸島周辺に中国海警局の船に止められ、12人の身柄が拘束された。

 

【2020年8月26日】中国海警局はSNS微博(ウェイボー)で文章を発し、広東省の海警局が8月23日夜9時過ぎ、広東省南東沖において、越境密航の疑いがあるとしてスピードボート一隻を発見し、「李某、鄧某」など違法越境に関わった者十数人の身柄を拘束したと説明。後に海警当局は、12名の香港人は広東省当局に逮捕され、塩田拘置所に拘束されていることを明らかにした。

香港入境事務処は、被逮捕者の家族から救助を求められたことを明かした他、情報を引用した形で被逮捕者の健康状態が良好と述べた。深セン市公安当局は9月13日、12名の香港人は越境密航の罪で刑事拘留されることを発表した。

 

【2020年9月4日】身柄が拘束されている香港人の家族の依頼を受け、中国本土の人権派弁護士盧思位は塩田拘置所に訪ねたが刑務官に阻止され、当事者との面会を果たさなかった。「当局から当事者に弁護士が選定された」との情報もあるが、盧氏は後に中共当局の脅迫を受け、事件から手を引かざるをえなくなった。

依頼を受けたもう一人の人権派弁護士任全牛も地方の司法当局から電話を受け、事件が「あまりにも大きい」として依頼の辞退を命じた他、「個人の安全に細心の注意を払うよう」述べた。

【2020年9月12日】拘束された12人のうちの6人の家族は、本土派活動家鄒家成と立法会議員朱凱廸・涂謹申と共に記者会見に臨み、12人が秘密裏に身柄拘束され、消息不明だったことを明かした他、家族側が依頼した中国本土の弁護士は当事者と面会できないばかりか、中国の国家安全当局に依頼の辞退を要求されたことも明らかにした。

家族側は中共当局が「当局指定の弁護士」で被拘束者の権利を剥奪しようとしていることを非難し、香港当局が事件について「実質的な援助をしたことが一度もない」と述べた。

また、被拘束者のうち、喘息・皮膚病・鬱などの慢性疾患を患っており、薬を常用している者もいるが薬の差し入れが中国当局に拒否されたと述べた。

記者会見では、家族側が以下の4つの要求を求める:

  1. 「当局指定の弁護士」を断固拒否、中国当局に対し、被拘束者と家族側が依頼した弁護士の面会を許可すること。

  2. 中国当局に対し、必要に応じ、被拘束者に適切な薬物を提供すること。

  3. 中国当局に対し、被拘束者と家族の電話連絡を許可すること。

  4. 香港政府に対し、被拘束者の人権が保証される確約をし、12人の身柄を中国から速やかに香港に移送すること。

 

12名の被逮捕者について:

李宇軒(29歲):民間団体「香港故事」のメンバー。所謂『香港国家安全法』の「外国又は境外勢力と結託する罪」の容疑で逮捕された。また、資金洗浄にも関わったとされる。

張俊富(22歲):香港公開大生。2019年12月8日「国際人権デー大行進」の際に所持物から拳銃と実弾が見つかったとして、傷害罪の共謀・無免許銃器並び弾薬所持・攻撃用武器所持の罪で起訴された。

張銘裕(20歲):自称無業者。2019年12月8日「国際人権デー大行進」の際に所持物から拳銃と実弾が見つかったとして、傷害罪の共謀・無免許銃器並び弾薬所持・攻撃用武器所持の罪で起訴された。

厳文謙(21歲):自称学生。2019年12月8日「国際人権デー大行進」の際に所持物から拳銃と実弾が見つかったとして、傷害罪の共謀・無免許銃器並び弾薬所持・攻撃用武器所持の罪で起訴された。

李子賢(29歲):自称測量技師。2019年9月29日「全世界反全体主義デモ」の際に暴動罪と警察官傷害罪の容疑で逮捕された。

郭子麟(18歲):香港大生。2019年11月18日に九龍・彌敦道(ネイザン・ロード)と窩打老道(ウォータールー・ロード)に起きた暴動に参加した容疑で逮捕された(香港警察による香港理工大学の攻撃に関連)。

鄭子豪(17歲):香港鉄路の技師見習い(2019年に退職)。2019年9月30日、香港島・湾仔住宅ビルの一室において火炎瓶の原材料が見つかったとして、放火罪の共謀と、財産の破壊又は破損のための物の意図的所持の罪で起訴された。

鄧棨然(30歲):自称営業員。2019年9月30日、香港島・湾仔住宅ビルの一室において火炎瓶の原材料が見つかったとして、放火罪の共謀と、財産の破壊又は破損のための物の意図的所持の罪で起訴された。

廖子文(17歲):中学5年生(日本の高校2年相当)。2019年9月30日、香港島・湾仔住宅ビルの一室において火炎瓶の原材料が見つかったとして、放火罪の共謀と、財産の破壊又は破損のための物の意図的所持の罪で起訴された。

黄偉然(29歲):自称機械技師。2020年1月16日、中国と国境を接する新界北部・上水沙頭角路の呉屋村付近にジニトロトルエン製造したとして、爆発物製造又は所持罪で起訴された。

黄臨福(16歲):ベトナム国籍。自称学生。2019年10月14日、旺角警察署前に火炎瓶を投げつけ、同じ日に自宅内にビール瓶で作られた火炎瓶三本を所持したとして、放火罪と攻撃用武器所持の罪で起訴された。

喬映瑜:詳細不明。密航事件の前に既に警察当局に指名手配された。

 

引用元(繁体字中国語):

維基百科 – 12港人被扣深圳事件

立場新聞 – 怒海之後-12-港人送中案全紀錄專頁

蘋果日報 – 12抗爭者避颱風提早偷渡赴台港警通報內地拉人

UDN – 12港人涉越境被捕 港媒:開船者鄧棨然刑期2至7年